HTML 5 ビデオ用の DASH アダプティブストリーミング
Dynamic Adaptive Streaming over HTTP (DASH) は、アダプティブストリーミングプロトコルです。これは動画の再生を維持するためにネットワークパフォーマンスに応じてビデオストリームのビットレートを切り替えることを可能にします。
ブラウザーの対応
Firefox 21 は HTML5 WebM のための DASH の実装を含んでいますが、既定では無効になっています。これは "about:config" の "media.dash.enabled" 設定によって有効にすることができます。
Firefox 23 では HTML5 WebM のための DASH は削除されました。これは Media Source Extensions API の実装で置き換えられました。これは dash.js のような JavaScript ライブラリによる DASH のサポートを可能にするものです。詳しくはバグ 778617 を見てください。
DASH の使い方 - サーバーサイド
まず、 WebM ビデオをさまざまなビットレートのビデオファイルとともに DASH マニフェストに変換する必要があります。 まず、 ffmpeg.org の ffpmeg プログラム、 libvpx と libvorbis の WebM ビデオとオーディオ、少なくともバージョン 2.5 (おそらく、これは 3.2.5 でテスト済みです) を必要とします。
1. すでに存在する WebM ファイルを使って一つの音声と複数の動画ファイルを作成する
たとえば:
in.video というファイルが ffmpeg でデコード可能な一つ以上の音声と一つ以上の動画ストリームを含むなんらかのコンテナーであるとすると、
音声はこのように作ります:
ffmpeg -i in.video -vn -acodec libvorbis -ab 128k -dash 1 my_audio.webm
それぞれのビデオはこのように作ります。
ffmpeg -i in.video -c:v libvpx-vp9 -keyint_min 150 -g 150 -tile-columns 4 -frame-parallel 1 -f webm -dash 1 \ -an -vf scale=160:90 -b:v 250k -dash 1 video_160x90_250k.webm ffmpeg -i in.video -c:v libvpx-vp9 -keyint_min 150 -g 150 -tile-columns 4 -frame-parallel 1 -f webm -dash 1 \ -an -vf scale=320:180 -b:v 500k -dash 1 video_320x180_500k.webm ffmpeg -i in.video -c:v libvpx-vp9 -keyint_min 150 -g 150 -tile-columns 4 -frame-parallel 1 -f webm -dash 1 \ -an -vf scale=640:360 -b:v 750k -dash 1 video_640x360_750k.webm ffmpeg -i in.video -c:v libvpx-vp9 -keyint_min 150 -g 150 -tile-columns 4 -frame-parallel 1 -f webm -dash 1 \ -an -vf scale=640:360 -b:v 1000k -dash 1 video_640x360_1000k.webm ffmpeg -i in.video -c:v libvpx-vp9 -keyint_min 150 -g 150 -tile-columns 4 -frame-parallel 1 -f webm -dash 1 \ -an -vf scale=1280:720 -b:v 1500k -dash 1 video_1280x720_1500k.webm
もしくは全てを一つのコマンドで一度に行います。
ffmpeg -i in.video -c:v libvpx-vp9 -keyint_min 150 \ -g 150 -tile-columns 4 -frame-parallel 1 -f webm -dash 1 \ -an -vf scale=160:90 -b:v 250k -dash 1 video_160x90_250k.webm \ -an -vf scale=320:180 -b:v 500k -dash 1 video_320x180_500k.webm \ -an -vf scale=640:360 -b:v 750k -dash 1 video_640x360_750k.webm \ -an -vf scale=640:360 -b:v 1000k -dash 1 video_640x360_1000k.webm \ -an -vf scale=1280:720 -b:v 1500k -dash 1 video_1280x720_1500k.webm
2. マニフェストファイルを作成する
ffmpeg \ -f webm_dash_manifest -i video_160x90_250k.webm \ -f webm_dash_manifest -i video_320x180_500k.webm \ -f webm_dash_manifest -i video_640x360_750k.webm \ -f webm_dash_manifest -i video_1280x720_1500k.webm \ -f webm_dash_manifest -i my_audio.webm \ -c copy \ -map 0 -map 1 -map 2 -map 3 -map 4 \ -f webm_dash_manifest \ -adaptation_sets "id=0,streams=0,1,2,3 id=1,streams=4" \ my_video_manifest.mpd
-map 引数は、指定された順序で入力ファイルに対応します。 ファイルごとに 1 つずつ作成する必要があります。 -adaptation_sets 引数は、それらをアダプテーションセットに割り当てます。 たとえば、ストリーム 0,1,2 および 3(ビデオ)を含む 1 つのセット(0)、およびストリーム 4(オーディオストリーム)のみを含む別のセット(1)が作成されます。
マニフェストと関連する動画ファイルをウェブサーバーや CDN に置いてください。 DASH は HTTP 上で動作するので、 HTTP サーバーがバイトレンジリクエストをサポートしていて .mpd ファイルが mimetype="application/dash+xml" で配信するように設定されていれば、これで全て完了です。
DASH の使い方 - クライアントサイド
ビデオファイルの代わりに DASH マニフェストを参照するようにウェブページを修正します:
<video>
<source src="movie.mpd" />
<source src="movie.webm" />
Your browser does not support the video tag.
</video>
これだけです!ブラウザーで DASH がサポートされていれば、動画はアダプティブストリーミングで再生されます。