配置
この記事では、 SVG (Scalable Vector Graphics) が描画コンテキストの中でどのようにオブジェクトの位置や大きさを表現しているのか、座標系や、変倍可能なコンテキストにおける「ピクセル」とは何かを説明します。
グリッド
SVG では、すべての要素に対して座標系またはグリッドシステムを使用しており、これはキャンバス(またはその他多くのコンピューターの描画ルーチン)で使用されているものと同様です。すなわち、文書の左上隅を点 (0,0)、すなわち原点と見なします。位置は、左上からのピクセル単位で測定され、正の x 方向は右に、正の y 方向は下になります。
これは、子どもの頃に教わったグラフの描き方とは少し違うことに注意してください(Y 軸が反転しています)。しかし、これは HTML の要素の配置方法と同じです(既定では、左書きの文書では同様に考えられますが、右書きの文書では X を右から左に配置します)。
例
次の要素、
<rect x="0" y="0" width="100" height="100" />
は、左上の角を起点に、そこから右と下に 100px の範囲で四角形を定義します。
「ピクセル」とは
最も基本的な場合においては、 SVG 文書の 1 ピクセルは出力機器(例えば画面)の 1 画素に対応します。しかし、この動作を変えることができないのであれば、 SVG の名称に "Scalable" (変倍可能)が付いていなかったでしょう。 CSS のフォントサイズに絶対値と相対値があるように、 SVG でも絶対単位("pt" や "cm" など寸法の識別子)と、そのような識別子を持たない数値だけの、いわゆるユーザー単位があります。
特に指定しない限り、 1 ユーザー単位は 1 画面単位と同じです。明示的にこの動作を変えるための手段が SVG にあります。以下の svg
ルート要素から始めるとします。
<svg width="100" height="100">…</svg>
上記の要素は、 100x100px のシンプルな SVG キャンバスを定義します。1 ユーザー単位は 1 画面単位と同じです。
<svg width="200" height="200" viewBox="0 0 100 100">…</svg>
この場合、 SVG キャンバス全体の大きさは 200px×200px です。しかし viewBox
属性は、表示するキャンバスの部分を定義しています。これら 200x200 ピクセルの領域は、ユーザー単位 (0,0) から始まり右方向および下方向に 100x100 ユーザー単位を占める領域を表示します。これは実質的に 100x100 単位の領域をズームインし、画像を 2 倍のサイズに引き伸ばします。
現行の (単一の要素またはイメージ全体への) ユーザー単位と画面単位間のマッピングは、ユーザー座標系 (user coordinate system) と呼ばれます。座標系から離れることで、回転・変形・反転を行うこともできます。既定のユーザー座標系は、1 ユーザーピクセルを 1 デバイスピクセルに割り当てます。(ただし、デバイスは何を 1 ピクセルとして扱うかを決めることができるかもしれません。) SVG ファイルで "in" や "cm" など特定の寸法である長さは、結果の画像で 1:1 で見えるようにする方法で計算されます。
これを説明する SVG 1.1 の仕様を引用します。
(前略) ユーザーエージェントは自身の環境から、 "1px" を "0.2822222mm" に対応づける (すなわち 90dpi) と仮定します。すると、 SVG コンテンツの処理において(中略) "1cm" は "35.43307px" (よって、35.43307 ユーザー単位)と一致します。