テキストの扱い — JavaScript での文字列
次に、文字列に注目しましょう。プログラミングでは、テキストの断片をこう呼びます。この記事では、文字列の作成、文字列内の引用符のエスケープ、文字列の結合など、JavaScript を学ぶ上で実に知っておくべき文字列に関する共通事項をすべて見ていきます。
前提条件: | HTML と CSS の基本的な理解、 JavaScript とは何かということを理解していること。 |
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目標: | JavaScript での文字列の基本的な扱いに慣れること。 |
言葉の力
文字列の宣言
文字列は最初の見た目では数値と同じように扱われますが、深く掘り下げるといくつかの顕著な違いが見えてきます。基本的な行をブラウザーの開発者コンソールに入力して慣れることから始めましょう。
始めに、次の行を入力していましょう。
const string = "革命はテレビでは放送されない。";
console.log(string);
数字のときと同じように、変数を宣言し、文字列の値で初期化し、その値を返しています。ここで一つ異なるのは、文字列を書くときには値を引用符で囲む必要があるということです。
これを行わなかったり、引用符の一方を書き落としたりすると、エラーが発生します。以下の行を入力してみてください。
const badString1 = これはテストです;
const badString2 = 'これはテストです;
const badString3 = これはテストです';
これらの行は動作しません。引用符で囲まれていないテキストは、変数名、プロパティ名、予約語などと解釈されるからです。ブラウザーが引用符で囲まれていないテキストを認識できない場合、エラーが発生します("missing; before statement" など)。ブラウザーが文字列の開始を検出できても(2 つ目の引用符がないために)終了を検出できなかった場合、 "unterminated string literal" エラーが報告されます。もしプログラムでこのようなエラーが発生するのであれば、文字列をすべて調べて、引用符の欠落がないことを確認してください。
以下は、 string
という変数を定義していれば動作します。試してみましょう。
const badString = string;
console.log(badString);
badString
という変数に string
という変数の値が設定されます。
単一引用符、二重引用符、逆引用符
- JavaScript では、文字列を囲む引用符として、単一引用符と二重引用符を使用することができます。以下のどちらの例も正しく動きます。
const single = '単一引用符';
const double = "二重引用符";
const backtick = `逆引用符`;
console.log(single);
console.log(double);
console.log(backtick);
文字列の開始と終了には、同じ文字を使用しなければエラーとなります。
const badQuotes = 'これは許されません!";
一重引用符で宣言された文字列と二重引用符で宣言された文字列は同じで、どちらを使用するかは個人の環境設定によりますが、一つのスタイルを選んでコードで一貫して使用するのが良い習慣です。
逆引用符を使用して宣言された文字列は、テンプレートリテラルと呼ばれる特殊な文字列です。ほとんどの点で、テンプレートリテラルは普通の文字列と同じですが、いくつかの特別な特性があります。
- JavaScript を埋め込むことができます。
- テンプレートリテラルは複数行に渡って宣言できます。
JavaScript の埋め込み
テンプレートリテラルでは、 JavaScript の変数や式を ${ }
で囲んで入れることができ、その結果が文字列の中に取り込まれます。
const name = "Chris";
const greeting = `Hello, ${name}`;
console.log(greeting); // "Hello, Chris"
同じ手法を使用して、2 つの変数を結合することができます。
const one = "Hello, ";
const two = "how are you?";
const joined = `${one}${two}`;
console.log(joined); // "Hello, how are you?"
このように文字列を結合することを連結と呼びます。
コンテキストでの連結
実際に使用されている連結を見てみましょう。
<button>押してね</button>
<div id="greeting"></div>
const button = document.querySelector("button");
function greet() {
const name = prompt("あなたの名前は?");
const greeting = document.querySelector("#greeting");
greeting.textContent = `${name} さん、こんにちは。はじめまして!`;
}
button.addEventListener("click", greet);
ここでは window.prompt()
関数を使用して、テキストを入力できるポップアップダイアログを表示し、ユーザーによって入力された文字列を変数へ、この場合は name
変数へ格納しています。そして、その名前を一般的な挨拶メッセージに挿入する文字列を表示します。
"+" を用いた連結
${}
は通常の文字列ではなく、テンプレートリテラルを使用することができます。通常の文字列は +
演算子を使用して連結することができます。
const greeting = "Hello";
const name = "Chris";
console.log(greeting + ", " + name); // "Hello, Chris"
しかし、通常、テンプレートリテラルを使用すると、より読みやすいコードになります。
const greeting = "Hello";
const name = "Chris";
console.log(`${greeting}, ${name}`); // "Hello, Chris"
文字列内に式を含める
単純な変数と同様に、 JavaScript の式をテンプレートリテラルに含めることができ、その結果も結果に含まれます。
const song = "Fight the Youth";
const score = 9;
const highestScore = 10;
const output = `I like the song ${song}. I gave it a score of ${
(score / highestScore) * 100
}%.`;
console.log(output); // "I like the song Fight the Youth. I gave it a score of 90%."
複数行の文字列
テンプレートリテラルは、ソースコードの改行を尊重するので、次のように複数行にまたがる文字列を書くことができます。
const newline = `One day you finally knew
what you had to do, and began,`;
console.log(newline);
/*
One day you finally knew
what you had to do, and began,
*/
通常の文字列を使用して同等の出力をするためには、文字列の中に改行文字 (\n
) を記載する必要があります。
const newline = "One day you finally knew\nwhat you had to do, and began,";
console.log(newline);
/*
One day you finally knew
what you had to do, and began,
*/
さらなる例と高度な機能の詳細については、テンプレートリテラルのリファレンスページを参照してください。
文字列に引用符を含めるには
文字列の先頭と末尾を示すために引用符を使用することができますので、実際の引用符を文字列に含めるにはどうすればよいでしょうか。これは動作しません。
const badQuotes = "She said "I think so!"";
一般的なオプションの 1 つは、文字列を宣言するために他の文字のいずれかを使用することです。
const goodQuotes1 = 'She said "I think so!"';
const goodQuotes2 = `She said "I'm not going in there!"`;
もう一つのオプションは、問題の引用符をエスケープすることです。文字をエスケープするということは、その文字がコードの一部ではなく、テキストとして認識されるようにすることを意味しています。 JavaScript でこれを行うには、文字の直前にバックスラッシュを置きます。試してみてください。
const bigmouth = 'I\'ve got no right to take my place…';
console.log(bigmouth);
その他の特殊文字を挿入する場合も同じ技術が使えます。詳細はエスケープシーケンスを参照してください。
数値と文字列
では、文字列と数字を組み合わせるとどうなるのでしょうか。コンソールで試してみましょう。
const name = "フロント ";
const number = 242;
console.log(name + number); // "フロント 242"
エラーを返すと思うかもしれませんが、これはうまく動作します。数値が文字列としてどのように表示されるべきかはかなり厳密に定義されているので、ブラウザーは自動的に数値を文字列に変換し、 2 つの文字列を連結します。
文字列に変換したい数値変数、または数値に変換したい文字列変数がある場合、以下の 2 つの構文を使用することができます。
-
Number()
関数は渡されたものすべてを数値に変換します。次の例を実行してみましょう。jsconst myString = "123"; const myNum = Number(myString); console.log(typeof myNum); // number
-
String()
関数は逆に、引数を文字列に変換します。試してみてください。jsconst myNum2 = 123; const myString2 = String(myNum2); console.log(typeof myString2); // string
この生成方法は状況によってはとても便利です。例えば、ユーザーがフォームのテキストフィールドに数字を入力した場合、入力された値は文字列です。しかし、その数字を使って計算したい場合、数値にしなければなりません。そんな時は Number()
に任せましょう。これは実際に数字当てゲームの 59 行目で使用した方法です。