フレックスアイテムの折り返しをマスターする
フレックスボックスは一次元のレイアウトとして設計されており、つまりアイテムを行または列として扱います。 — しかし、同時ではありません。しかし、フレックスアイテムを新しい行に折り返し、 flex-direction
が row
の場合は新しい行を、 flex-direction
が column
の場合は新しい列を生成します。このガイドでは、これがどのように動作するのか、何のために設計されているのか、どのような場合にフレックスボックスより CSS グリッドレイアウトが必要になるかを説明します。
折り返しを行う
flex-wrap
プロパティの初期値は nowrap
です。つまり、コンテナーに対して幅が広すぎるフレックスアイテムのセットがあると、コンテナーからはみ出してしまいます。幅が広くなりすぎたら折り返すようにしたい場合は、flex-wrap
プロパティを追加して wrap
の値を設定するか、一括指定の flex-flow
を使用して row wrap
または column wrap
の値を設定する必要があります。
アイテムはコンテナーの中に収まります。次の例では、10 個のアイテムを配置しています。すべてのアイテムの flex-basis
は 160px で、伸長と縮小が可能です。最初の列で 160 ピクセルのアイテムを配置する空間がなくなると、新しいフレックス行が作成され、すべてのアイテムが配置されるまで繰り返されます。アイテムが成長すると、各列を完全に埋めるために、160 ピクセルよりも大きく拡張されます。最終行にアイテムが 1 つしかない場合は、行全体を埋めるように伸縮します。
これと同じことが列でも起こります。アイテムが折り返して新しい列を作り始め、それぞれの列を完全に埋めるためにアイテムを伸長するようにするためには、コンテナーに高さを設定する必要があります。
折り返しと flex-direction
折り返しは、flex-direction
と組み合わせることで、期待通りの効果を発揮します。flex-direction
が row-reverse
に設定されている場合、アイテムはコンテナーの端から始まり、逆順に並んでいきます。
なお、反転は行内方向にのみ行われます。右から開始して 2 行目に進み、再び右から開始します。下から開始してコンテナーを上がっていくという、両方の方向で反転しているわけではありません。
一次元レイアウトの説明
上の例で見たように、アイテムが伸縮することが許されていれば、最後の行や列のアイテムが少なくなると、それらのアイテムは空いた空間を埋めるように伸びていきます。
フレックスボックスには、ある行のアイテムとその上の行のアイテムの位置を揃える方法はありません。各フレックス行は新しいフレックスコンテナーのように機能します。これが主軸の空間分配を行います。アイテムが 1 つだけで、そのアイテムが成長することが許可されている場合、1 つのアイテムのフレックスコンテナーがある場合と同様に、その軸いっぱいに表示されます。
2 次元でのレイアウトが必要な場合は、おそらくグリッドレイアウトを使用します。上記の折り返し行の例を CSS グリッド版のレイアウトと比較すると、違いが分かります。次のライブサンプルでは、CSS グリッドレイアウトを使用して、160 ピクセル以上の列が収まるだけのレイアウトを作成し、余分な空間をすべての列に分配しています。ただし、この場合、アイテムはグリッド内に留まり、最終行のアイテム数が少なくなっても伸びることはありません。
これが一次元と二次元のレイアウトの違いです。フレックスボックスのような一次元方式では、行または列のみを制御します。グリッドのような二次元のレイアウトでは、両方を同時に制御します。行ごとに空間を分配したい場合は、フレックスボックスを使用してください。そうでない場合は、グリッドを使用してください。
フレックスボックスベースのグリッドシステムはどのように機能するか
通常、フレックスボックスベースのグリッドシステムは、フレックスボックスを馴染みのある float ベースのレイアウトの世界に戻すことで機能します。フレックスアイテムにパーセント値の幅を割り当てると、flex-basis
として、または flex-basis
の値を auto
のままにしてアイテム自体に幅を追加することで、2 次元のレイアウトのような印象を与えることができます。以下の例では、この機能を確認できます。
ここでは、flex-grow
と flex-shrink
を 0
に設定して、柔軟性のないフレックスアイテムを作り、フロートレイアウトで行っていたように、パーセント値を使って柔軟性をコントロールしています。
フレックスアイテムを横軸に並べる必要がある場合は、この方法で幅を制御することで実現できます。しかし、ほとんどの場合、この方法でフレックスアイテムに幅を追加する場合は、その部分をグリッドレイアウトに変更した方がよいことがわかります。
アイテム間のすき間の生成
フレックスアイテム間にすき間または溝を作成するには、 gap
プロパティを使用します。
CSS の gap プロパティは row-gap
と column-gap
の一括指定で、グリッド、フレックス、段組みレイアウトにおける行や列の間の空間である溝の大きさを指定します。
フレックスボックスでは、 gap
プロパティをフレックスコンテナーに適用します。これは隣接するフレックスアイテムの間に固定された空間を作成します。しかし、アイテムの間に空間を作ることができるのは gap
プロパティだけではありません。マージン、パディング、justify-content
、align-content
も溝のサイズを大きくすることができ、実際のすき間のサイズに影響を与えます。
両方の軸で gap
プロパティが margin
とどのように異なるかを確認するには、コンテナー .box
の gap
値を変更し、下記スタイルシートの .box > *
ルールに margin
値を追加してみてください。リセットボタンをクリックすると前回の値に戻ります。
アイテムの折り畳み
フレックスボックスの仕様では、アイテムに visibility: collapse
を設定することで、フレックスアイテムが折り畳まれた場合の動作が詳細に規定されています。 visibility
プロパティの MDN ドキュメントを参照してください。仕様では、以下のように動作を説明しています。
「フレックスアイテムに visibility:collapse を指定すると、折り畳まれたフレックスアイテムになり、table-row や table-column の visibility:collapse と同様の効果が得られます。折り畳まれたフレックス アイテムはレンダリングから完全に削除されますが、フレックス行の交差軸の寸法を安定させる「支柱」が残ります。したがって、フレックスコンテナーにフレックス行が 1 つしかない場合、アイテムの折り畳み状態を動的に変化させると、フレックスコンテナーの主軸の寸法が変更されることがありますが、交差軸の寸法には影響しないことが保証されているため、ページの残りのレイアウトが「ぐらつく」ことはありません。ただし、フレックスの行の折り返しは折り畳み後に再実行されるため、複数の行を持つフレックスコンテナーの交差軸の寸法は変更される場合もあれば、変更されない場合もあります。" - Collapsed items
この動作は、 JavaScript を使用してフレックスアイテムを対象にし、コンテンツの表示・非表示を行う場合などに便利です。仕様書の例では、そのようなパターンの一つを示しています。
次のライブ例では、折り返しのないフレックスコンテナーを使用しています。3 番目のアイテムは他のアイテムよりも内容物が多いのですが、 visibility: collapse
に設定されているため、フレックスコンテナーはこのアイテムを表示するために必要な高さの支柱を保持しています。CSS から visibility: collapse
を削除したり、値を visible
に変更したりすると、アイテムが現れ、折り畳まれていないアイテムに空間が再分配されますが、フレックスコンテナーの高さは変わりません。
メモ: Chrome や Safari では折りたたまれている部分は非表示として扱われるため、以下の 2 つの例は Firefox を使用してください。
しかし、複数行のフレックスコンテナーを扱う場合は、折り返しが折り返しの後に再実行されることを理解する必要があります。つまり、ブラウザーは折り畳まれたアイテムがインライン方向に残した新しい空間を考慮して、折り返しの動作を再実行する必要があります。
つまり、アイテムが最初の行とは別の行になってしまう可能性があるのです。アイテムを表示したり隠したりすると、アイテムが別の行になってしまうこともあります。
次のライブ例では、この動作を作成しました。折り畳まれたアイテムの位置に基づいて、引き伸ばされている行が変化している様子がわかります。2 番目のアイテムにさらにコンテンツを追加すると、十分な長さになった時点で行が変更されます。その結果、一番上の行は、テキストの 1 行分の高さにしかなりません。
これによりレイアウトに問題が生じる場合は、構造を見直す必要があるかもしれません。たとえば、各行を別々のフレックスコンテナーに入れて、行がずれないようにするなどです。
visibility: hidden
や display: none
との違い
前回のライブ例では、 visiblity: collapse
の代わりに visibility: hidden
または display: none
を使用してみてください。 visibility: hidden
を使用すると、アイテムは見えなくなりますが、ボックスは書式構造内に保持されるので、レイアウトの一部であるかのように動作します。
display: none
を使用すると、項目は完全に書式構造から除去されます。見えないだけでなく、構造も除去されます。これはカウンターがそれを無視し、トランジションなどのことが実行されないことを意味しています。