import.meta.resolve()
import.meta.resolve()
は JavaScript モジュールの import.meta
オブジェクトで定義されている組み込み関数で、現在のモジュールの URL をベースとしてモジュール指定子を URL に解決します。
構文
import.meta.resolve(moduleName)
引数
moduleName
-
インポート可能なモジュールを指定する文字列。これは相対パス(
"./lib/helper.js"
など)、ベア名("my-module"
など)、絶対 URL("https://example.com/lib/helper.js"
など)のいずれかです。
返値
引数が import()
に渡された場合にインポートされるパスに対応する文字列を返します。
解説
import.meta.resolve()
により、スクリプトが次のように名前のモジュール指定子解決アルゴリズムにアクセスすることができます。
// Script at https://example.com/main.js
const helperPath = import.meta.resolve("./lib/helper.js");
console.log(helperPath); // "https://example.com/lib/helper.js"
import.meta.resolve()
は解決を行うだけであり、結果のパスをロードしたりインポートしようとはしないことに注意してください。(この動作の理由は仕様の説明に記述されています。)そのため、返されたパスが存在するファイルに対応しているかどうかや、そのファイルがモジュールの有効なコードを含んでいるかどうかに関係なく、その返値は同じです。
これは動的インポートとは異なります。どちらも第 1 引数としてモジュール指定子を受け取りますが、 import.meta.resolve()
はそのパスにアクセスしようとすることなく、インポートされるであろうパスを返します。したがって、次の 2 つは実質的に同じコードです。
// アプローチ 1
console.log(await import("./lib/helper.js"));
// アプローチ 2
const helperPath = import.meta.resolve("./lib/helper.js");
console.log(await import(helperPath));
しかし、 "./lib/helper.js"
が正常にインポートできなくても、 2 行目のスニペットがインポートを実行するまでエラーは発生しません。
ベアモジュール名
その名前に対してモジュール解決が定義されていれば、 import.meta.resolve()
に素のモジュール名(素のモジュール指定子としても知られています)を渡すことができます。例えば、ブラウザー内でインポートマップを使って定義することができます。
<!-- index.html -->
<script type="importmap">
{
"imports": {
"my-module": "./modules/my-module/index.js"
}
}
</script>
<script type="module">
const moduleEntryPath = import.meta.resolve("my-module");
console.log(moduleEntryPath);
</script>
繰り返しますが、このスニペットは moduleEntryPath
をインポートしようとしないので、インポートマップもインポートしません。
new URL() との比較
URL()
コンストラクターは 2 番目のベース URL 引数を受け付けます。最初の引数が相対パスで、ベース URL が import.meta.url
の場合、 import.meta.resolve()
と同様の効果があります。
const helperPath = new URL("./lib/helper.js", import.meta.url).href;
console.log(helperPath);
これは、古いブラウザーをターゲットにする場合にも便利な置換構文です。ただし、いくつかの違いがあります。
import.meta.resolve()
は文字列を返し、new URL()
はURL
オブジェクトを返します。構築されたURL
に対してhref
やtoString()
を使用することも可能ですが、 JavaScript の環境によっては、あるいはバンドラーのようなツールを使用してコードを静的に解析する場合には、まったく同じ結果にならないことがあります。import.meta.resolve()
は、上で説明したように、インポートマップを使用したベアモジュール名の解決など、追加の解決設定を認識します。新しいURL()
はインポートマップを意識せず、ベアモジュール名を相対パスとして扱います(つまり、new URL("my-module", import.meta.url)
はnew URL("./my-module", import.meta.url)
を意味します)。
いくつかのツールは new URL("./lib/helper.js", import.meta.url).href
を "./lib/helper.js"
への依存関係(インポートに似ている)として認識し、バンドル、移動したファイルのインポートの書き換え、"go to source" 機能などの機能のためにこれを考慮します。しかし、 import.meta.resolve()
は曖昧さが少なく、特にモジュールパスの解決依存を示すように設計されているため、これらの使用例では可能な限り import.meta.resolve(moduleName)
を new URL(moduleName, import.meta.url)
の代わりに使用する必要があります。
ECMAScript の機能ではない
import.meta.resolve()
は JavaScript モジュールの ECMAScript 仕様書の一部として指定も文書化もされていません。その代わりに、この仕様書 import.meta
オブジェクトを定義していますが、そのすべてのプロパティを "ホスト定義" のままにしています。 WHATWG HTML 標準は ECMAScript 標準が残したものをピックアップし、モジュール指定子の解決 を使って import.meta.resolve
を定義しています。
つまり、 import.meta.resolve()
はすべての適合する JavaScript 実装で実装される必要はありません。しかし、 import.meta.resolve()
はブラウザー以外の環境でも利用できるかもしれません:
- Deno はブラウザー動作との互換性を実装しています。
- Node.js には
--experimental-import-meta-resolve
という実装があり、現在は文字列の代わりにPromise
を返します。
例
Worker() コンストラクターのパスを解決
import.meta.resolve()
は、 Worker()
コンストラクターのように、スクリプトファイルへのパスを引数として受け取る API で特に有用です。
// main.js
const workerPath = import.meta.resolve("./worker.js");
const worker = new Worker(workerPath, { type: "module" });
worker.addEventListener("message", console.log);
// worker.js
self.postMessage("hello!");
これは、サービスワーカー や 共有ワーカー など、他のワーカーのパスを計算するのにも便利です。ただし、相対パスを使用してサービスワーカーの URL を計算する場合、既定では解決されたパスのディレクトリーが登録スコープを決定することに注意してください(ただし、登録時に別のスコープを指定することもできます)。
仕様書
Specification |
---|
HTML Standard # hostgetimportmetaproperties |
ブラウザーの互換性
BCD tables only load in the browser